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2017年6月27日 (火)

(271)偽書?「ミュータント・メッセージ」

ケアンズで、アボリジニのパフォーマンスを観たことを書いたら、友人から一読の価値ありと勧められた本がマルロ・モーガン著「ミュータント・メッセージ」(角川書店・絶版)です。

 

主人公はアメリカ人の女性の医療関係者。オーストラリアの知人から、彼女が行っている患者教育プログラムを活かすためにオーストラリアで働かないかと誘われる。行ってみると、占い師から「あなたがこの国に来たのは生まれる前から約束されていた、お互いが向上できる人と出会うために。あなたとその人とは地球の反対側で、同じ日に生まれている・・・。」と告げられ、アボリジニの<真実の人>という部族に出会う。そして未開の地を三カ月歩いて旅をすることになる。身に着けているすべてのものを脱がされ、ボロのような服だけが与えられる。脱いだもの、装飾品はじめ持ち物はすべて燃やされてしまった・・・。

 

この旅で部族は食べ物を持ち歩かない。水を入れる動物の膀胱を持つだけ。行く手には必ず食べ物が与えられる、と信じている。彼らの祈りに宇宙はつねに応えてくれる。彼らは心から自然のあらゆるものを讃える。言葉ではなく、メンタルテレパシーで意思を伝えあう。テレパシーは、心や頭に何か隠そうとする部分があると機能しない。言葉や書き文字は障害物として排除される。声は歌うため、祝うため、癒しのためにある。すべてを受け入れ、正直になり、自分を愛することが大切である。

 

主人公は、<真実の人>族の人たちと行程を進むうちに、足を複雑骨折した男が仲間たちの介護で翌日には歩けるようになったり、ミュータント(突然変異を意味する単語。科学の力で超越した能力を得た者のこと。この本ではアボリジニから見て現代人をミュータントであると表現しているらしい。)からみれば奇跡と思われることをいくつも体験していきます。こんなことも<真実の人>族から指摘されます。

 

われわれは宇宙との一体にまっすぐ歩いている。(おまえたち)ミュータントは、多くの信仰を持っているね。おまえの道は私のとは違う、お前の救い主は私のと違う、おまえの永遠は私のと違う、と思っているね。だが、本当はすべての命はひとつなんだよ。宇宙の意図はひとつだけだ。肌の色はたくさんあるが、人類はひとつだ。ミュータントは神の名前や建物の名前、日付や儀式で言い争う。・・・みんな同じ血と骨を持っている。違いは心と意図だけだ。ミュータントは自分のことや人との関わりのことを、ほんの百年でしか考えない。<真実の人>族は永遠を考える。祖先や、まだ生まれない孫たちも含めて・・・。

 

そしてついに<真実の人>族から認められた主人公は、彼らの最後の伝言を受け取ります。

 

この世界の人々はすっかり変わり、大地の魂の一部を売り渡してしまった。その魂と合体するためにわれわれは天に行く。あなたはわれわれがここから去ることを仲間に伝えるミュータント・メッセンジャーとして選ばれた。われわれはあなたがたに母なる大地を残していく。あなたがたの生き方が水や動物や空気に、そして互いにどんな影響を与えていくか、はっきり認識するように祈っている。・・・われわれのときは終わった。すでに雨の降り方は変わり、暑さは増し、作物や動物の繁殖も衰えている。われわれはもはや魂の住みかとしての肉体を用意することはできない、なぜならまもなくこの砂漠に水や食べ物がなくなるときがくるからだ。・・・

 

ウィキペディアなどによれば、この本は著者自身の実体験に基づいて書かれたノンフィクションとして当初刊行されたが、アボジリニからは否定、抗議され、またアボリジニの長老が書いたとされる推薦文もねつ造と判明したため、あらためてフィクションとして再刊行されたとのこと。

 

しかし、素直に読んだ人は、今の地球に住む自分のことを、あらためて考え直そうとするでしょう。現代人が他人より「良い」生活をするために、ひたすら競争をしながら生きていること、そのために地球が汚染され、そのためにいずれ苦しむ子孫のことより、今の自分の快適な生活を優先してしまっていることなどを。

 

人が生まれてきた意味は何か、ミュータントの誰も教えてはくれません。宗教者であろうと、実際は誰も知らないからでしょう。自分の素直な心に従って生きる、誰かのために尽くす、自分の役割を感じながら毎日を生きる、何よりも周りと助け合って生きる、そうしていれば宇宙の大きな計らいが人を守ってくれるという<真実の人>族の信仰は、何万年を生きてきただけに示唆を与えてくれます。

 

単にスピリチュアルの一語で済ませてしまっていいものか。(もう引き返せないが)私たちの道が、確実に滅びに向かっていることを感じる今だからこそ、一読の価値ありとMくんは勧めてくれたのだろうと思います。

 

 

 

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コメント

さぞ分厚い本なのでしょうが、うまく要点をまとめてくださったので、またまた読んだ気になってしまいました。ありがとう。
 このテーマ、昔からなんとなくそんな気がしていましたが、おっしゃる通り、ますます滅びに近づいているのが実感されるようになってきている今日このごろでね。
 科学技術が進み、それゆえに自然界では地球のエコシステムが歪み崩れ、人間界でも経済活動など社会活動も本来の万民の幸福追求から各人のエゴの追及へと変貌しているのを目の当たりにすると、長~く地球とともに暮らしてきたアボリジニに代表される古代の人々の生活態度に救いを求めたくなる気持ちは痛切に胸に響きますね。
 我々まもなくこの世を去る年代の人間にとって、とても重いテーマです。

さぞ分厚い本なのでしょうが、うまく要点をまとめてくださったので、またまた読んだ気になってしまいました。ありがとう。
 このテーマ、昔からなんとなくそんな気がしていましたが、おっしゃる通り、ますます滅びに近づいているのが実感されるようになってきている今日このごろ、いよいよ胸に迫ります。
 科学技術が進み、それゆえに自然界では地球のエコシステムが歪み崩れ、人間界でも経済活動など社会活動も本来の万民の幸福追求から各人のエゴの追及へと変貌しているのを目の当たりにすると、長~く地球とともに暮らしてきたアボリジニに代表される古代の人々の生活態度に救いを求めたくなる気持ちは痛切に響きますね。
 我々、まもなくこの世を去る年代の人間にとって、とても重いテーマです。

syさん。コメントありがとう。
本は200ページほどで、苦になりません。訳者も上手で読みやすいです。
さて、われわれの生きた時代は、子孫からはどう思われるのでしょうかね?
心して残日を過ごしたいと思います。

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