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2017年6月12日 (月)

(269)「究極の協奏曲」コンサート

18歳のヴァイオリニスト、服部百音(もね)と、全盲のピアニスト、辻井伸行が競演する、「究極の協奏曲」と銘打たれたコンサートを聴いた。オーケストラは日本センチュリー交響楽団、指揮はニール・トムソン。(長身のこの指揮者がまた素晴らしかった。)

 

まず、服部百音は服部良一から数えて4代目、祖父は克久、父は隆之という音楽一家に生まれた天才といわれる。1曲目のエルンストの「夏の名残のバラ(庭の千草)による変奏曲」は、粗削りではあるが、超絶技巧、例えば弓でアルペジオを弾きながら、ピチカートで主旋律を弾くなどの、各種の変奏を懸命に弾いた。ブラボーである。

 

そしてチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」。オーケストラとの息もぴったりで、素晴らしい演奏であった。第一楽章の終わりで早くも盛大な拍手が巻き起こったが、それも当然の印象がした。楽章間の拍手は慎むべしという不文律があるが、感動した故の拍手には違和感はない。

 

(余談ながら楽章間の拍手について、相当なクラシックファンと思われる方のブログに以下の記述がある。)

私は楽章間の拍手についてはケース・バイ・ケースでやって構わないと思います。実は私も楽章間に思いっきり拍手した経験があります。6,7年前にシドニーでチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」を聴いていたのですが、第1楽章でのソリストの奮闘に対し拍手を送りたくなった私は楽章が終わるまでウズウズしていたんですね。そして最後の和音が終わったときに思わずやっちゃったんですよ、拍手を。でも私はその時周囲の叱責を受けずに済みました。なぜなら私だけでなく会場の全ての聴衆も一斉に拍手喝采を送ったからです(笑)。(「おかか1968」ダイアリーさん)

 

やはりチャイコフスキーの協奏曲は別物なのである。この日もまったく同じ状況であったと思う。

 

辻井伸行はいずれもショパンで、ソロは「英雄ポロネーズ」、協奏曲は最もポピュラーな「第1番」。彼の演奏をナマで聴くのは初めてである。付き人に誘われて登場するところから、ピアノに触れ何度も椅子の位置を確かめるところ、協奏曲では指揮者に合図を送り、オケの演奏が始まり、ピアノが始まるまでの時間、またピアノがお休みの間も、彼は曲に合わせてずっと身体を前後に揺すっている。そんなステージ上の彼のすべてを見て、感じていた。

 

最初のうちは体の揺れが気になったのは確かであるが、彼のすべてがこの曲と一体化しているのだと思ったら、逆にその音楽を愛する一途さが愛おしく思えてきた。筆者が初めて買ったクラシックのレコードがこの曲。ピアノはマルタ・アルゲリッチ、指揮はクラウディオ・アバド。何回聴いたことだろう・・・。今回、ノブのひたむきな演奏で改めてこの名曲を堪能させていただいた。涙を堪えるのに苦労した。

 

さて最後に粋なアンコール曲が用意されていた。百音のお父上、隆之氏作曲の「真田丸のメインテーマ」である。曲が始まったとたん、会場から軽い驚きと嬉しさの混じった拍手が起こった。昨年の大河ドラマの毎回の冒頭で聴きなじんだメロディーが、ピアノとヴァイオリンで交互に演奏される。演奏が終わった後の会場の反応がいかにすごかったことか。オーケストラは敢えてお休みにして、二人だけで華麗に弾き切った。フェスティバルホールが揺れるようだった。

 

 

 

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コメント

思わず、この演奏会に行っていたらなあ、と思わせる描写です。
演奏がいかに素晴らしかったが如実に伝わる描写と説明で、これを読んだ者まで疑似感動してしまうほどの名文だと思います。
ありがとうございました。

思わず、この演奏会に行っていたらなあ、と思わせる描写です。
演奏がいかに素晴らしかったが如実に伝わる描写と説明で、これを読んだ者まで疑似感動してしまうほどの名文だと思います。
ありがとうございました。

syさん。過分なお褒めをいただきありがとうございます(大汗)。

スポーツの世界では若い人の活躍が毎日のように報じられますが、相対的に目立たない若きアーティストたちの活躍もしっかり見届けたいと思いました。

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