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2017年2月20日 (月)

(255)舞台劇「めぐみへの誓い」大阪公演

一昨年、政府の拉致問題対策本部との会合で、「たしか横田めぐみさん拉致を描いた演劇があると聞いたことがあるが、その後どうなりましたか?」と尋ねたところ、「各地で公演をと考えているが、なかなか自治体が手を挙げてくれないので、西日本ではまだやったことがありません」とのことだった。

 

聞けば公演費用は一切国が負担し、自治体の仕事は会場の手配、広報と集客の受付くらいで、チラシ・ポスターの作成から、当日の細かい現場作業まで、国の入札で請け負った業者がみんなやってくれるという。

 

驚いた。そんな好条件でも開催の手を挙げる自治体が少ないとはいかがなものか。事実、公演実績を見ると、平成25年度:新潟市(2日間)のみ、平成26年度:横浜市、東京都(2回)、北海道石狩市(2日間)、平成27年度:秋田市、川口市、北秋田市、そして今年度は6か所、秋田男鹿市、福岡市、仙台市、沖縄浦添市、福島白河市、そして今回の大阪となっている。

 

過ぎたことは言うまい・・・とは思いつつも、しかし、ここにお役所仕事の典型を見る。国は「拉致問題啓発舞台芸術事業」と銘打って予算は確保した、しかし自治体に通知しても、仕事を増やしたくない自治体は手を挙げないのである。拉致問題への取組み姿勢とはこの程度のものかとあきれてしまう。当該予算を単純に今年の開催回数で割ってみると、大阪公演にかかった費用は67百万円と推定される。大阪の入場者800人として、一人当たりおよそ8,000円かかっている!

 

昨年3月、新年度の事業予算がついたことを政府に確認したうえ、大阪市、堺市(政令指定都市)にその情報を提供し、国から通知があったらぜひ手を挙げるようにと申し入れた。大阪市の担当課の動きが良くないので、人権局長を引っ張り出して要請した。局長の反応は前向きであったが、それでも単独の開催はできない、大阪府と共催にしたいと言ってきた。調整に手間取っているうちに、福岡市が先に日程(11月)を組んだので、西日本初とはいかなくなったが、何とか今回関西初の公演が実現した。

 

劇団夜想会の公演は素晴らしいものだった。いや素晴らしいという形容詞はこのテーマには適当ではないかもしれない。脚本も演技もとにかく凄かった。拉致の残酷さ、非情さ、北朝鮮招待所での被害者の描写(なかでも教官に脅迫されて、朝鮮語で金日成、金正日への忠誠を延々としゃべりつづけるめぐみさんの姿など)、突然肉親を奪われた家族の混乱、孤独な闘い、2002年、北朝鮮発表の死亡宣告を真に受けて家族に伝えるだけの政府等々、たくさんの内容を見事に構成している。めぐみさんとご両親の、「会いたい」「帰りたい」という思いが、夢や回想といった演出で的確に描かれていた。原田大二郎さんはじめ俳優たちの魂の演技、絶叫が今も耳を離れない。

 

娘の拉致が濃厚な大阪市の福山はるみさんが筆者の横で観ておられた。ずっと泣いておられた。拉致のむごさに耐えられないご様子でつらかった。

 

筆者が13年やってきた支援活動は何だったのかと考えさせられた。被害者やご家族の苦悩について、これまで何度も語ってきたが、正直それはセンチメンタルなものに過ぎなかった。この演劇を観てはじめて“命がかかっている”ということの意味を実感できたと思う。本当に恥ずかしく思った。

 

安倍首相も、ある程度の数の国会議員も観ただろうが、この劇をどう感じたのだろう。普通の神経感覚を持っていたら、自分の使命を悟り、力の限り救出に動こうとするはずだ。今もって一人も救えていないということは、あまりに鈍感すぎるのではないか。もう一度観てほしい。最優先課題だ、自分の内閣の使命だ、と言いながら、できない言い訳ばかりを考えている政府にあらためて怒りが湧いてきた。

 

この演劇を、高校生など若い世代にぜひ観てもらえるように政府に訴えていきたい。われわれ高齢者が観るのに多額の国家予算を使うのはあまりにもったいない。高校生は国費で無料、一般は有料としたら、いくらかでも公演回数を増やせるのではないか。40人の俳優、スタッフは2日前から大阪に来てリハーサルをしたそうだが、そこまでして800人の1回公演は、これまたもったいない。昼夜2回はできたのではないか。一人当たりコストも半減するはずだ。企画、準備する側も魂を込めて工夫してほしいものだ。

 

 

 

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