« (249)ごまめの歯ぎしり | トップページ | (251)トランプ大統領登場 »

2017年1月19日 (木)

(250)尾崎咢堂記念館

あまり良いことのなかった一年の締めをどうしようかと考え、押し詰まった旧臘の28日、伊勢神宮に参拝した。来年こそは・・・と念じたあと、伝統の味、伊勢うどんをいただき、ホッとする。一年間の思いやら、何もかもを包みこんでくれる優しさがそこにはあった。

 

高校の旧友に電話をし、尾崎咢堂記念館を案内してくれないか、と頼む。突然の願いを快く受けて車で迎えに来てくれた。ありがたい。故郷と旧友のやさしさに甘えて、年末最終開館日の静かな記念館を訪れる。尾崎咢堂の名前と「憲政の神様」「議会政治の父」と呼ばれていることは知っていたが、その人となりはあまり知らずにいた。

 

資料を見ると、もともと伊勢の人ではなく、生まれは今の神奈川県相模市。父の転任により13歳でここ宇治山田に移住してきたが15歳になると慶応義塾に入学したというから、当地には2年ほどいただけか。16歳で「学者自立論」を執筆、福沢諭吉に見せ、その推薦を受けて20歳の若さで新潟新聞の主筆、のち報知新聞論説委員にも。妻繁子は長崎の人。

 

大隈重信らと立憲改進党創設に参加。政治家の道に入る。明治23年、第一回衆議院選挙で、家族の居住する三重五区から出馬。以降25回連続当選。39歳で大隈内閣の文部大臣に就任。44歳のとき、第二代東京市長にも就任。約10年、東京市政改革に取り組み、米国ワシントン市に、桜の苗木3000本を贈ったあと退任。国政に復帰。第二次大隈内閣の司法大臣など務める。

 

第一次世界大戦後の欧州を視察し、帰国後は普通選挙と軍縮を訴える。昭和12年、78歳のときに、辞世の歌を懐に、議会で決死の軍部批判を行う。昭和16年、大政翼賛会を批判、政府に反対質問するため登壇するが阻止される。ときに83歳。不敬罪で起訴されるも無罪となる。昭和20年、「休戦と新世界建設の構想」などを書くが、終戦となり、未発表に終わる。93歳で25回目の当選。95歳で初めて落選。衆議院名誉議員。東京都名誉都民第一号。

 

残念ながら伊勢で生まれた人ではなかったけれども、縁あって伊勢の人たちは63年間も、ずっと咢堂を応援し続けたのである。なかには親子、孫まで三代はゆうに、「尾崎」と投票し続けたということだから郷里の人たちを誇りたいと思う。(筆者の父も、咢堂を敬慕した三木武夫を生涯応援していた)

 

「咢堂五訓」にあるように、「人生の過去は予備であり、本舞台は未来にあり」を、身をもって体現し、理想の国家、世界を考え抜いて、その真情を世に説き続けた人生は見事というしかない。最終的に、人類の幸福、戦争の絶滅を実現するには「世界連邦」しかないとの咢堂の思いは、明日就任するというアメリカの新大統領の言行を見れば、まだ当分不可能となるが、だからこそ日本は大きな理想を育てていかなければならない。

 

 

 

« (249)ごまめの歯ぎしり | トップページ | (251)トランプ大統領登場 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

私も尾崎咢堂の名前は知っていても、その人となりや功績を知らなかったひとりです。こうやって、非常に適切にまとめていただき、深謝。あらためて、こういう本当の政治家(politicianじゃなくてstatesman)が、この国にもちゃんといたんだということを知って、誇りに思います。翻って、トランプのアメリカは、良心的なアメリカ人の誇りを無残に打ち砕いているように思います。

syさん。コメントありがとうございます。
以前貴兄も「世界連邦」的な考えを示されていたと記憶します。
自分たちのことを「市民」と呼ぶか、「国民」と呼ぶか・・・もちろんどちらも正しいと思いますが、記念館の展示を見ながら、「国民」に拘るとどうしても争いになりやすいということを、咢堂は確信していたのだと思いました。ポトマック河畔の桜の木は、トランプ氏のふるまいをどう見ているでしょうか?

ポトマック河畔の桜の木は言いました。「私たちは100年、1000年単位で、生を考えて生きています。人間もやっと最近になって同様の考え方をできる人が出てきたかと喜んでいたのですが、どうやらぬか喜びだったようです。この国の今度のリーダーはせいぜい4年、いや、たぶん、1年か半期、ひょっとすると四半期でしか物事を考えられない御仁のようです。こういう人に核爆弾のボタンを押すことを許して、人類は何を考えているんでしょう」

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1594571/69304729

この記事へのトラックバック一覧です: (250)尾崎咢堂記念館:

« (249)ごまめの歯ぎしり | トップページ | (251)トランプ大統領登場 »