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2016年11月24日 (木)

(244)独裁者が愛した映画

「将軍様、あなたのために映画を撮ります」という不思議なタイトルの映画を観た。

北朝鮮の二代目独裁者の金正日が、韓国の著名な映画監督とスター女優を拉致して映画を撮らせた顛末をドキュメンタリーにまとめた映画であるが、この映画を作ったのはイギリス人。そういえば横田めぐみさんのドキュメンタリー映画を作ったのもアメリカ人とカナダ人であったが、人権問題について敏感なのは、やはり欧米なのかと考えさせられる。

 

制作ノートにはこう書いてある。

「この話をいつ知ったのかは思い出せない。長い間、空想の中にある、どこかの寓話作家がでっち上げた、出典の怪しい物語だと思っていた。」

「映画監督と女優が、映画の品質向上のために残虐な独裁者に誘拐されるなんて。」

 

そう、独裁者は映画狂であった。かの国で一番たくさんの映画を観ていた人物といわれ、自らの思いを「映画芸術論」という本にまとめた(まとめさせた?)くらいである。「ゴジラ」や「男はつらいよ」のファンだったともいわれているそうな。国内の映画製作者が、独裁者に媚びるような作品しか作れないのが不満で、韓国の一流監督と女優の拉致を命じたというのだ。

 

北朝鮮に拘留されている3年間に、17本の映画を作った監督申相玉は10年前に亡くなっているが、女優崔銀姫は生きている。今年88歳。イギリス人監督は、2年かけ、不審と不安をいだく女優とその家族をくどき落として映画を作った。

 

女優や家族の回想、関係者へのインタビュー、当時の映像、17本の映画の場面などを編集して作られているが、何と言っても、いつかこうした映画が作られる日が来ると予感していたのか、申監督自身が北朝鮮での録音テープを残していた。何と金正日との会話も。監督は日本に留学していたことがあり、日本語でしゃべっている。自分の体験を信じてもらうために、親しい日本の友人に語ろうとしたのか、あるいは自らの防衛のための日本語だったのか。

 

自国や自分に必要な人材は、手っ取り早く外国から拉致してくるという、とんでもない北朝鮮の拉致犯罪の意図を世界中に暴露する貴重な映画が作られた。

 

制作ノートにはこうも綴られている。

「北朝鮮自体が金一族の、異様で、虚栄に満ちた幻想の延長線上にあり、そこで人々は死の恐怖におびえながら、与えられた役を演じなければならないという、映画のような国なのです。」と。

 

 

 

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