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2016年3月 7日 (月)

修二会

例年、3月になっても寒さがなかなか終わらないとき、関西では、口々に「お水取りが終るまではなぁ」というのが時候の挨拶となる。東大寺の修二会(お水取り)の本行の時期を迎えても、今年は妙に暖かい日が続いている。好天と気温に誘われて、毎夜19時から行われる「お松明(おたいまつ)」を見せてもらいにでかけた。すっかりご無沙汰していて実に約18年ぶりに。

S012


お松明とは、初夜の行を始めるために練行衆が登り廊を登るときに道明かりとして焚かれるもので、長さ68m、約40kg12日の籠松明は8m、70kg)もある。一人の童子がこの松明をかざして、後に一人の練行衆が続き、練行衆が入堂すると、その松明を持った童子は舞台(欄干)に回り、火を振り回すのである。

 

この日は10本(新入の一人を除く10人の練行衆が登楼)のお松明のなかで、1本、燃え盛る先端部分が振り回す前にドッと落下するというハプニングがあって、観衆から悲鳴のような歓声があがったりしたが、夕闇の中を次々と童子が火の粉を振りまきながら走り抜ける様は勇壮で美しい。火の粉を浴びると病除けになると信じられているし、燃えかすを護符として大切に持ち帰る人もいる。

 

西暦752年から1年の休みもなく、今年は1265回目という修二会は、仏教行事としては日本最大といってよいのだろう。いや、練行衆が古式に則って行う数々の行のひとつ「大導師作法」では、歴代天皇、東大寺ゆかりの人々以外にも、戦争や災害に倒れた万国の人々の霊の菩提を弔うのだと聴くと、バチカンのサンピエトロ大聖堂(創建こそ4世紀であるが)の祈りにも充分比肩するものではないかと思う。

 

また、「大導師作法」では、現職の総理大臣以下閣僚、三権の長の名を呼び上げて、その働きが天下太平、万民豊楽をもたらすよう祈願するそうであるが、果たして祈願されている彼らはそのことを知っているのだろうか、と思ったりする。数百万円の賄賂を懐に入れる誘惑に勝てないような人物は、一度この火の粉を浴びて懺悔したらどうだろうか。

 

ともあれ、このような行事に、急に思い立って出かけられるほどのロケイションに住まいさせてもらっているとは何と有難いことだろう。古都奈良よ、万歳!

 

 

 

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